通常、私たちの上下の歯は食事のとき以外、接触していません。食事中に歯は、接触しますが、それは瞬間的なことで、その時間は丸1日でもわずか5分から10分間くらいです。
普段、上下の歯は前歯や臼歯も含めて1~2mm離れ、「安静空隙」という間隔を保っているのです。
ところが、ある特定の問題を抱えて当院に来られた患者様は、上下の歯が常に接触している状態だという方が多いのです。これは「歯牙接触癖」と呼ばれる異常な状態で、歯の磨り減り(咬耗)や知覚過敏、顎関節症、舌痛症をはじめとする、様々な問題を引き起こす要因にもなります。
ところで、「歯牙接触癖」という言葉は、東京医科歯科大学顎関節治療部の木野孔司先生が提唱する「Tooth Contacting Habit(TCH)」の日本語訳で、日中無意識に行う食いしばりや睡眠中の歯ぎしりのことを意味します。いつも食いしばっている、あるいは毎晩歯ぎしりをしているという自覚を持つ人は少ないものですが、それは、ほとんどが無意識に行っているからです。
このように上下の歯が接触し続けると、「顎関節症」や「むし歯でもなんでもないのに奥歯が痛む」という問題が生じる事があります。
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